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萌えた時に萌えたものを書いたり叫んだりする妄想処。生存確認はついったにて。
30 . April
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13 . September
サイト掲載が解禁になりましたのでこちらに。「わにたん!」に寄稿させて頂いたサーお誕生日おめでとう(笑)話です。
(笑)をつけないとお前これほんとに誕生祝のつもりなのと小一時間問い詰められかねない出来だったのですが、他の方々の作品を拝見してとても安心しました(褒め言葉です)。
鰐は 啼かされて なんぼ ですよね!
9/15追記:共通の設定で各自お話を書くという企画でしたので、スナスナの西さんのお宅から冒頭文をお借りしてきました。不案内さに気付かず申し訳ありません…。***以降が管理人パートとなります。

注意
・18歳未満のお嬢様は閲覧をお断り致します。












海軍本部の街マリンフォード。
言わずと知れた世界の正義の中心。

大海賊時代より前は軍事要塞としての風体を要していたそこも、時代の流れと共に人が移り住み、今や巨大な一大都市としてにぎわっていた。
当初は軍人とその家族しか住まないと思われていたその島も、大海賊時代の到来による海軍の成長と共に、進化を遂げる。
物流の利点や消費の増大に後押しされる形で商人が住み着き、今やその島で手に入らない物は無いと言われるまでに賑わいを見せていた。

海軍の中枢ともなれば保有する兵力も世界一である。
大量の重火器を搭載したフリゲート・ガレオン船・戦列艦など、最新鋭を誇る艦隊が所狭しと停泊している。
元々観光地化されているシャボンティ諸島に近いこともあり、世界最大の戦力を一目見ようと、年々島を訪れる観光客は増加する傾向にあった。

そこに、リゾートホテル建設の話が持ち上がったのが数年前。
富裕層をターゲットとしたそれは、部屋数こそ少ないものの、巨人族でもゆったりと泊まれるほどに一室が広々としており、王宮のごとき体を模していた。
その完成記念式典の仕上げとして、最初の宿泊客として招待されたのが、現在定例会議でマリンフォードを訪れている王下七武海の面々である。

元々は海賊であるが、政府との契約により海賊を潰す海賊として民衆からは絶大な支持がある。
もちろんそれは彼らの表の顔であり、彼らの不祥事は全て海軍によって隠匿されるのだから、表面上は完璧なダークヒーローである。
みな曲者ぞろいではあるが、何よりも華がある。
そんな彼らが4人も一時期に集まるなど異例のことで。
ホテル側はその知名度を利用し、一躍自らの名を世界に広めようと目論んでいた。

今回召集に応じた4名とは、ゲッコー・モリア、バーソロミュー・くま、ドンキホーテ・ドフラミンゴ、サー・クロコダイル。
ジンベエ、ボア・ハンコックからは、いつも通りの取りつく島もない欠席の通達が早々に届いた。
また、世界最強の剣士ジュラーキュール・ミホークは所在不明ということで、おそらく不参加というあいまいな扱いとなっていた。

海軍の定例会議にしては七武海の参加者が異例の大人数ではあるが、これにはホテル側の担当者が何度も彼らの元に足を運び、彼らを納得させる破格の条件を提示したからに他ならない。
七武海のお墨付き、という最高の宣伝文句は、その価値に余りあるほどの宣伝効果があるのだ。
そのため、ホテル側は彼らに破格の謝礼を贈っているが、それは世間には公表されていない。
あくまで、七武海をも満足させることができるホテル、というネームバリューが欲しいのだ。

そんな状況に加えて、こういったイベントに湧いて出るのがゴシップ狙いの新聞記者達だった。
英雄たちのプライベートショットを収めようと、命知らずな報道陣たちがホテルを取り囲むように集まっていた。
それもこれも、宣伝効果を目的としたホテル側の根回しであることは明白だが、七武海のゴシップがほしい記者と、大いに宣伝してほしいホテル。
要は、利害の一致というやつだった。
招待される七武海側も、全て分かった上で宿泊しているのだから、周囲のざわめきに特に不平をもらすことはなかった。

そんな裏事情を全て暗黙に帰すかのように、美しいホテルは夜の闇に包まれ、真新しいシャンデリアには初めての明かりが灯る。
その幻想的な光景を外側から見ることもなく、一人の男が廊下と呼ぶには広すぎる通路を大股に歩いていた。
男の名はドンキホーテ・ドフラミンゴ。
彼はとある一室の前で立ち止まり、ぐるりと大きな扉を見渡す。
今日は9月5日。時刻は午前0時。
そこは、サー・クロコダイルが宿泊する部屋だった。

*****

 ノックに対する返事はなかった。
 それでも構わず、ドフラミンゴはノブに手をかける。精緻な細工の施された、華奢な真鍮のそれは、滑らかに回りきって彼を通した。毛足の長い絨毯は爪先を包み、綺麗に足音を消す。だがこの程度で他人の気配を察し損ねるような男なら、部屋の主は到底自分と同じ肩書きを持ち得ない。
 古風な貴族の館を思わせる応接間を抜けた奥は、壁一面を切り取ってしつらえた窓と天蓋付きのベッド、そしてベッド周りの調度品のみが置かれている。二階建てでも高台に位置するこのホテルは、景観も最上との触れ込みだった。カーテンを開け放てば、マリンフォードの夜景がパノラマで一望できるのだろう。
 自分のものとは全体的にコンセプトの異なる部屋だが、寝室のシンプルさは共通のようだ。必要なものは全てベッドサイドの電伝虫一本で供してみせると、そういうことだろう。もっとも、今バトラーなど呼んだら、間違いなく彼は怒り狂うだろうが。
「よう、邪魔してるぜ鰐野郎。出迎えてくれねェから勝手に入っちまった」
 悪いなァ、と心にもない謝罪を口にしながら、ドフラミンゴはベッドの上に俯せているクロコダイルを見下ろした。
 ぐたりと萎えた四肢を深紅のスプレッドの上に預け、急な角度から睨み返してくる彼は、しかし身を起こすことすらせずに息を詰めている。浅く早い呼吸は熱を持て余した人間のそれで、事実半分ほど枕に埋まった顔や首筋には、うっすらと汗が滲んでいた。
「随分と酷ェ顔色してんな、具合でも悪ィのか?」
「っざけん、な、死ね………!」
 射殺さんばかりの視線でドフラミンゴを貫き、クロコダイルはやわらかな羽根枕を握りしめた。どうせ、水鳥の代わりに毒々しい桃色の羽根を毟って詰めてやりたい、とでも思っているのだろう。節の長い指が伸び、憤怒に満ちた金茶色のまなじりを辿ると、予想に違わず枕に爪を立てていた手がそれを払いのけた。力の入り方からすれば、手の甲を持ち上げて落としたと言った方が近い脱力具合だ。
「おーおー、相当参ってんなァ。会議中よくもまァあれだけ平然としてられたもんだ」
 ベッドの端に腰掛け、今度は幾筋かほつれた髪を梳いてやりながら、ドフラミンゴはもう一方の手をファーコートのポケットに突っ込んだ。
「っあ、く……っ、……っ!」
 途端、力を失っていたクロコダイルが跳ね、庇うように身を丸めた。波打つ肩を押さえようと、指のある手が腕を抱く。コートとタイがない以外、些かも乱れていない姿の彼を認めて、ドフラミンゴは呆れた。
「まさか自分で触ってもねェの? 抜かなきゃ後は何してもいーって言ったのに」
「ぅ、うっ、っぁ……っ」
 鞭打たれた馬のように、びくびくと震えるクロコダイルは、固く瞼を下ろして更に縮こまる。その下腹部、ベルトのバックルのすぐ下を、ドフラミンゴの指が押した。
「は、ァ……っ!」
「ここも辛そうだなァ、可哀想に」
 あからさまに布地を押し上げ、興奮を知らしめている前を、大きなてのひらが戯れに擦り上げる。先刻と同じく押し止めようとした手は、けれど中途で浮いてためらいを晒した。どうにか極彩色の羽毛を掴んでも、その方向性が見いだせずにいる。ぎり、とクロコダイルの顎の奥で、平たいエナメル質のこすれる音がした。
「…っクソ、さっさと抜きやがれ、この変態鳥頭……!」
 身体と同様、わななく喉で叩きつけられた罵倒に、唇を歪めていたドフラミンゴは、とうとう盛大に笑いだした。
「フッフッフッフ! 砂漠の英雄はおねだりまで尊大ときたもんだ!」
 それでこそだよなァ、と続いた言葉は、クロコダイルのすぐ耳元で響いた。首をすくめる彼を逃がすことなく、ベッドに乗り上げてきたドフラミンゴは薄い耳殻に舌を這わせる。
「ふっ、ぅ、あ……っ」
 生ぬるく濡れた粘膜に輪郭を辿られ、すぐさま柔く歯を立てられて、クロコダイルの膚が総毛立った。圧しかかってくる男への罵声で破裂寸前な思考とは裏腹に、右手は大きく開いたシャツに縋る。重たげに掲げられた鉤爪はといえば、侵入者を屠ることなく、カーブの内側に金髪頭を捕らえていた。
「えらく積極的じゃねェの、そんなにこれが気に入った?」
 服の上からくまなくクロコダイルをまさぐっていた手が、不意に腿の付け根へ伸びた。依然熱を持つ前をてのひらの窪みでくるみ、指先を後ろへと滑らせる。
 揃えた人差し指と中指をスラックス越しにぐう、と押し込んだ瞬間、クロコダイルは腰を起点に全身をひきつらせた。
「ア……、……っっ!」
 唇は喘ぎのかたちのまま、無音で啼くさまが艶めかしく、ドフラミンゴはその動作を二度三度と繰り返した。うずまっている異物は、突き入れた時こそ激しく拒まれたものの、今はきちんと馴染んでいるようだ。
 機械的に振動しながらクロコダイルの奥を弄んでいるそれは、今日――日付にこだわるならば昨日だが――ほぼ一日中彼を苛み続けた、海楼石配合の樹脂製の玩具だった。



 天候と潮流が上々だったおかげで、クロコダイルは今回予定時刻よりも二時間ほど早く、マリージョアに到着していた。
 だが、今にして思えば、快調だった船旅すら彼には呪わしく思える。偶然にも同じ時間帯に着いたドフラミンゴと顔を合わせるなり、クロコダイルは来賓用宿舎の空き部屋へと放り込まれた。
 いつもならば腕を掴まれたくらい何ほどのこともないのだが、今日は勝手が違っていた。
『学習能力、って言葉知ってる? クロコちゃん』
 にい、とお得意の凶悪な笑顔を浮かべたドフラミンゴの中指には、彼らしくないシンプルな銀の指輪が填まっていた。そこに等間隔でぐるりと埋め込まれた石のくすんだ光沢に、クロコダイルは己がしくじったことを知る。よくよく下らないことに限って頭の回る男だと思ってはいたが、海楼石を仕込んだ指輪で能力者を捕縛するなど、余程暇でなければ考えつくまい。
 無駄に柔軟な発想力と応用力に悪態をつく間もなく、彼はあられもない格好に剥かれて貪られた。扉の一枚向こうで行き来する海兵の気配に神経を尖らせながら揺さぶられ、彼は会議前から戦闘とは質の違った体力の消耗を余儀なくされた。
 しかし、事が終わった後にドフラミンゴが仕掛けた悪戯(本人の言による。クロコダイルに言わせれば最悪の嫌がらせ以外の何物でもない)に比べれば、慣らされたイレギュラーなセックスなど、疲労のうちにも入らなかったのだ。
『これ、今夜の予約代わりな。勝手に抜いたらお仕置きだぜ?』
 ついさっきまで自分の肉で穿っていた粘膜の入口に、同じ形の玩具をひたりとあてがって、ドフラミンゴはそう言った。それだけで力が抜け、ローションを塗りたくられた先端部に使われた素材を悟ったクロコダイルは、持てる限りの語彙を駆使して彼を罵った。結局抗えず、ぐずぐずとなかに無機物を沈められながら、彼は今日に限ってドフラミンゴが腹の上に精をぶちまけたわけに思い至った。
 犯り捨てた有象無象どもに刺されまくって死ね。
 試運転とばかり、いたずらに玩具の動きを切り替えてゆく男の前で喘ぎながら、クロコダイルは心の底から願った。それが確か、昼前の出来事だったように思う。
 そこから定例会議に出席し、正義の側に立つ海賊というパフォーマンスを一通りしてみせた後、ようやくかねてから招待されていたマリンフォードの新しいホテルに移った。杭打たれた身体にとっては、着席している姿勢が最も堪えるので極力立っていたかったが、会議中は意地で深く椅子に掛け通した。時折円卓の向こうからドフラミンゴが不快な笑みを投げてくるのは感じたが、全て黙殺だ。なかの異物が動き出さなければ、そして意識を逸らし続けていれば、乗り切れる嫌がらせなのだ。そう、動き出さなければ。
 会議が閉会した直後から、気まぐれに玩具を蠢かし始めたドフラミンゴによって、その甘い仮定は見事に打ち砕かれた。
 既に一度貫かれる悦楽を味わっている内壁は、すんなりと疑似生殖器を呑み込んでおり、不規則に移りかわる動きでかき回されるほど刺激を欲しがった。自船がマリンフォードに着港するまでの時間はやけに長く、客室へと案内するページボーイの足取りは遅く感じられた。晩餐やサービス諸々の説明を、体調不良を建前に打ち切り、クロコダイルはとうとうカーテンを閉め切るとベッドに倒れ込んだ。
 そして、今に至る。
「エロい顔してんなァ、見てるだけでイけそう」
 遠慮せず逝け、と吐いたつもりの唇は、上擦った呼気をこぼしただけに終わった。たかが玩具に膝を屈することを拒んだにもかかわらず、ひとつボタンを外される度、クロコダイルの裡には解放への期待が満ちてゆく。ドフラミンゴを求めているのは、理性の介在できないけだものの領域だ。
「う……っあ、ぁ……っく」
 ぷつり、と凝った胸の先を押し潰されて、重苦しい熱が腹の底に沈む。まだいくつかボタンが留まったシャツの下から潜り込んだ指は、思いの外入念にクロコダイルを煽り立てた。
 抵抗は、しない。下手に退けようと試みるより、好きにさせた方が早く終わる。けれど経験から選び取った最善の選択肢も、今回ばかりは言い訳じみて思えた。
「舐めていい?」
 これ見よがしに長い舌を覗かせて、ドフラミンゴが問う。クロコダイルの首がどう振られようが、その赤い粘膜がどこへ向かうのかは明白だった。
 顔を背けて返答を避けると、案の定シャツがたくし上げられ、ぬめった肉の感触が突端に絡みついてくる。あんなものを突っ込んでくる時は有無を言わさずだったくせに、乳首を舐める程度で伺いを立てる理由が解らない。
「あ、やっ、も……抜け……っ」
 時計の短針が一回りするほどの間、無機物になかを弄られ続けた身体は、とうに火照って昂ぶりきっている。前戯にびくつく度、ずくんとこみ上げる疼きに耐えるのも、そろそろ限界だった。
「んん? そう焦るなよ。ちょっと待ってな」
 終わりの合図のように、起ち上がった胸をぐり、と硬くした舌の先でこそげると、ドフラミンゴは腹筋を舐め下ろしていった。吸いつかれたすぐ下で、聞き慣れた金属の擦れ合う音が立つ。バックルが外されジッパーが下りる、それだけで焦燥は加速した。長い指がスラックスにかかり、勢いよく膝下まで引き下ろされる。
 早く、早くと膚の下で求める声が膨れ上がる。プライドは辛うじて健在だが、憤りと理性は輪郭を崩して、最早引き留めることもできなくなっていた。
「まずはこっちだろ?」
 諫めるように言うと、ドフラミンゴはクロコダイルの下着の縁に犬歯を引っかけてずり下げた。相手の意図に合わせて浮いてしまった腰が憎らしかったが、それを揶揄されることはなかった。
 何故なら、もっとお誂え向きの材料が、彼の眼前に並べられていたからだ。
「フフフッ、糸引いて震えてるぜ、やらしいなァ」
「………っ、ア……ぁ…っ」
 充分に熱された肉の先と、薄い布地の裏を繋いでいた透明なひとすじは、すぐにふつりと切れた。落ちた糸の跡を拭うように、ドフラミンゴは露わにした腿の付け根から舌を滑らせる。鼠径部の窪みをくすぐり、髪と同じ色の陰りの境界をなぞって、もどかしさにまなじりを尚濃く染めるクロコダイルを窺う。
 引き抜く勢いで掴んでやろうと金髪に伸ばした指は、けれど一気に肉の裏側を舐め上げられて、添えるだけに留まった。ぬらりと生き物じみた粘膜、が、指摘通りはしたなく先走りを澪す先端の溝を割る。
「……ぁ、ぅあ……っあぁ…っ」
 大きな口の中に含み取られると、舌に加えて頬裏や軟口蓋の肉で執拗に扱き立てられた。腹から腿がしきりに強い性感に緊張し、依然として打ち込まれたままの玩具をより意識させる。せめてねじれるような鈍い回転だけでも止めてくれと、クロコダイルはもつれる舌を懸命に繰った。
「と…めろ…っ、つま、で…動かし、て……!」
 うっすらと終わりが見えてきた声は、何を口にしてもかすれてぶれる。しゃぶられるだけならまだしも、後ろまで同時に責められている中で意味の取れる言葉を吐けたのは、奇跡と言ってよかった。
 しかし、こういう場面での自分の努力が往々にして実を結ばないことを、クロコダイルは失念していた。
「んー? こっちのこと?」
 口腔内のかなりの空間が使用中のため、実際には「んー?」以下は全てハ行だったのだが、玩具の持ち手を弾いた指によって不鮮明な部分は補完された。些細な刺激にも爪先を丸めるクロコダイルの姿を、ドフラミンゴは返答として受け止める。あやしていた肉から口を離し、コートのポケットを探る。
「まだ最強にもしてねェんだけどなァ。ちなみにこれぐらいなんだけど」
 差し出されたコントローラーのダイヤルが、目の前できり、と最大まで回されたのを、クロコダイルは見た。
「――――っや、あぅ、あ、ぁ!」
 大きくうねりを上げた可動部が、規則的にかすめていた前立腺に手酷く食い込む。度を超した快感にほとんど反射で腰が跳ね、肩胛骨の下から膝までがぴんと張る。差し出されるように浮いた下半身を掬い上げ、ドフラミンゴは再度クロコダイルの肉に舌を纏わりつかせた。
「やめ、ぬ、け、だめっ、だ、も……――――!」
 したたる先走りをじゅく、と唾液ごと啜られ、玩具を更に奥まで押し込まれて、緊張しきった腿が断続的に震える。大きくびくつくごとに、クロコダイルはドフラミンゴの口腔に精をほとばしらせていた。
「……また派手にトんでんなァ。俺の言ってること解る?」
 わずかな残滓まで吸い上げ、飲み下して、ドフラミンゴは彼を覗きこんだ。
 前後から容赦なく追い立てられた身体は、平時の遂情よりも長い余韻に痺れている。鉤爪で隠し切れない唇が、閉じることもできず上擦った呼吸を繰り返しているのが見て取れた。
「……ちっ、くしょ……ころ…す、てめ……っ」
 荒い息の下、どうしようもなく甘ったるくなった声で、それでもクロコダイルはドフラミンゴを罵倒する。いっそ驚嘆してもいい自尊心の高さだが、生憎外から客観的に見た彼は、どう見ても肉欲に敗北を喫していた。
「俺としては、むしろお前が死なないように願ってるぜ。何しろ今日は死ぬほどサービスするつもりで来たんだ」
 矛盾した発言をすると、ドフラミンゴはスプレッドに埋もれていた端末を弄る。緑色の小さなランプが消え、クロコダイルのなかで暴れていた玩具はようやく低い唸りを止めた。
「……っ、ふ………っ」
 ずる、と内壁を擦りながら抜き出される異物の感触に、クロコダイルは歯の根を無理矢理噛み合わせる。快楽を付加する目的でつけられた凹凸が、粉々に壊してやりたいほど憎かった。早く抜け、抜いたら殺す、すぐ殺すと、弛緩して使いものにならない我が身を棚上げし、彼は決意を新たにした。
 だが次の瞬間、クロコダイルは己の鈍った思考力を心底呪った。
「――――っは、あぁ、あっ、ア!」
 冷静に考えれば、電動音を上げるグロテスクな道具で延々嬲られ、指と舌で高められた、その後には。
 狼藉を働いた張本人による、生身の責めが待っているに違いなかった。
「あー……がっつきすぎ。びくびくさせんのやめて、クロコちゃん」
 満足気に長い息を吐きつつ、ドフラミンゴは完全に根本までを納めた。腿の裏と下腹が密着した状態で、試すようにゆらゆらと揺さぶられ、クロコダイルが息に溶けたような喘ぎをこぼす。
「……ぁ、あ……っ、や……あ……っ」
 痛みは、ない。散々身の内を荒らした玩具のせいで、なかはとうに熟れてやわらいでいる。粘膜がひきつれるような不快感も、繋がった境目にオイルを垂らして抜き差しされれば、瞬く間に霧散した。すぐに体温に馴染んだそれは、粘る水音をことさら助長して聴覚を刺激する。
「フッフッ、こんなにガチガチに勃たせといて嫌も何もねェだろ」
 ドフラミンゴの人差し指が、露出した粘膜の先を撫で回す。先ほど吐精したばかりだというのに、そこは性懲りもなく潤んでいた。
 情欲を帯びて過敏になる一方の身体が、意地の放棄を訴える。突いて扱いて啼かせてくれと、薄皮一枚隔てた下で血を沸騰させている。畜生、誰が、こんな変態、に。
「……い…っから……うご……け…っ!」
 紛れもなく自分の意思で言葉を絞り出しながら、クロコダイルはいっそ死にたい、と思った。途轍もない敗北感に打ちのめされ、それでも彼は圧倒的な愉悦の前に膝を折る。返事は、命令の名を借りた懇願を聞き届けることでなされた。
「あー…っ、ひぁっ、あぅ、っや、ぃ…っ」
 必死に飲み込もうとしては、甲斐なくあふれる単音がどうしようもなく無様だ。半端にスラックスの引っかかった膝は、ドフラミンゴの身体に圧し曲げられるように畳まれている。見下ろすアングルなら、確実に繋がってぬかるんだ孔が丸見えだ。
「うん、いー感じにぐちゃぐちゃになってんなァ。じゃあ、この辺でサーにひとつサプライズを」
 言うと、ドフラミンゴはクロコダイルごとベッドの端に寄った。そのままきつく覆い被さるように、床に向かって手を伸ばす。腹につくほど、というより、実際に腹についた腿に、ただでさえ上がっている息がしづらくなり、クロコダイルは広さの割に薄い肩を叩く。
 だが、大きなてのひらに乗せられたものを認めた瞬間、彼は呼吸を忘れた。
「これなーんだ?」
 乗った土台の大きさとも相まって、ますますそれは小型に見えた。一般に普及しているものとは、用途と形状を異にする、黒く小さなそれ。クロコダイルも裏の仕事で部下に使わせることが少なくない、それ。
 ドフラミンゴの手の上には、ぱちりと目を開けた盗聴用の電伝虫が、粛々と鎮座していた。
「……………………!!」
 夢から飛び起きたように、焦点を結んだクロコダイルの瞳孔が、一気に引き絞られる。脊髄反射と見紛うほど素早く伸ばした右腕は、しかし寸前で払いのけられた。
 再度襲撃を受ける前に、ドフラミンゴは黒い電伝虫を反対側のベッドサイドへと投げる。それを追って上体を捻るクロコダイルの動きを利用し、片腿を首の向いた方へ押しやって、横から深く貫いた。
「ぁ…………ッ!」
 自ら口を覆って声を抑え込んだ分、しきりに身体が痙攣した。浸され続けた快楽だけでなく、焦りと息を吹き返した羞恥が、クロコダイルの外と内を緊張させている。
「今更黙り込んだって手遅れだと思わねェ? お前が一日中バイブ咥えこんでたのも、そのままフェラされてイってたのも、今俺に突っ込まれて全身びくびくしてんのも全部聴かれてんだからよ」
 仕掛けたのがタブロイド紙じゃねェことを祈ろうぜ、サー・クロコダイル。
 わざと聞かせるようにフルネームで呼び、ドフラミンゴは抽送を再開した。
「……っ! ぅ……っ、く、ふ……っ!」
 自分の指をほとんど轡にしながら、あらん限りの力で伸ばした鉤爪は、広いベッドの向こうには届かない。
 幾度も頭を下げにきたホテルの支配人の顔が脳裏によぎり、彼は殺意を覚える。私共のような一般の人間から、巨人族のお客様までゆったりとくつろげる設備とサービスを、と謳っていた初老の男を砂にしてやりたい。恵まれた体躯を持つ彼は、人生で初めて大きすぎるベッドに憤懣やるかたない思いを抱いた。
「声出さねェなら実況しちゃうけどいいのー? 今俺はクロコちゃんを横からハメてて、恥ずかしいのが感じる淫乱クロコちゃんはすっげェ締め」
 べらべらと喋り立てる喉元に吸い寄せられるように、鋭利な爪の先が飛ぶ。
 紙一重で背筋を反らしたドフラミンゴは、襲撃をかけた腕を捕らえると、仕返しのように激しくなかを穿った。本人は気付かないふりをしていても、張りつめた肉を甘やかす管道は確かに締めつけを増し、彼を悦ばせている。
「……――っ、ぅあぁ、あっ、あ!」
 上体を低め、勘所ばかりをなすり上げるドフラミンゴに、幾らもせずてのひらの封はあっさりと破れた。上質なスプレッドが擦れる音と、乾いた肌と濡れた粘膜のぶつかる音に加えて、ぼろぼろとこぼれる声が天井の高い部屋に響く。備え付けの電伝虫の隣にことりと倒れた黒いもう一つは、機能を損なった様子もなく黙りこくっていた。
 聴かれて、いる。
 どこの誰とも解らない人間が、念波の向こうで己の醜態に聞き耳を立てている。
「いや、だっ、ドフラミンゴ……っ、やっ、あぅ!」
 縋るように名を呼ぶ声とは裏腹に、クロコダイルはベッドに面を伏せる。熱をはらんだ瞳は隠れたが、浮き上がる肩胛骨や撓む背は、充分ドフラミンゴを興奮させた。筋肉や皮膚は、口先と違って嘘をつかない。
 ねじるように奥を突くと、脇腹がざわりと粟立ち、背骨がしなった。
「恥ずかしい? 恥ずかしいよなァ、一国の王と渡り合えるほど偉い砂漠の英雄様が、尻を犯されて悦ぶ淫乱だって全世界に流れちまうかもしれねェもんな?」
 脳細胞のひとつひとつに滲ませるように、ドフラミンゴが囁いた。注ぎ込んだ言葉に栓をするとばかり、長い舌を耳の中へと滑り込ませて舐る。唾液ごと耳介を啜りながら突き上げると、クロコダイルのなかは痛いほど収縮した。
「ふ、や……っも、ぅあ、あっ、あ、あ、」
 最早歯止めの利かなくなった喉が、不安定にスタッカートを打つ。ゆるんだ顎をぐいと上向かされ、食いつかれた時にはもう、全身が昇り詰める瞬間を待ち詫びていた。
 上からも下からも、絶え間鳴く濡れた粘膜の擦れ合う音がする。駄目だ、拾われる、こんなに、音、が。
「んぅ、んんっ、ぁ…――――っ!!」
 ぐじゅ、とひと際深く打ちつけたドフラミンゴの肉が、管道を圧し拡げてぎちりと膨らむ。
 肉壁を灼くような精の熱さに感じ入りながら、クロコダイルもまた、こごった欲をぶちまけた。



「大丈夫、録られてねェって」
 こともなげに、ドフラミンゴが言った。
 刺激の需要の限界を超え、不覚にも意識を飛ばしたクロコダイルは、そのまま寝入ってしまった。その間に煩わしい後始末は終えられていたらしく、目覚めた身体に不快な感触はなかったが、そんなことに構っている場合ではなかった。
 すぐさまやわらかなキルトを跳ね除け、あの黒電伝虫の出所を押さえようと飛び起きた彼は、しかしドフラミンゴの一言で動きを止めた。
「…………何だと………?」
 ドフラミンゴとしても、クロコダイルの行動は予測済みだったのだろう。寝そべったままでも、しっかりと左肘を掴んで(鉤爪まで外されている辺り、心底腹立たしい)引き止めた彼は、どんな時も無駄に回る口で続けた。
「いや、全くの嘘だって訳でもねェんだけどよ。プレスが殺到するって聞いてたから、もしかしてと思ってここに来る前俺の部屋を一通り探してみたら、同じもんが仕掛けられてた。ここって事前に取材許可取ったメディアしか入れねェって取り決めだったろ? だから支配人呼んで記者のリスト総浚いさせた。大元の録音機器ぶっ壊したから、何も残らねェよ」
 おかげでいい暇潰しになった、とお馴染みの含み笑いを洩らす男の言葉を数秒かけて咀嚼し、クロコダイルはついにべしゃりと崩れ落ちた。煮えたぎる怒りと焦りを圧倒する疲労感が、余すところなく全身を支配する。
「……死ね、てめェ本当死ね、海に沈んで跡形もなく海王類に食われて自然の発展に役立てこの最低野郎……」
 疲れた声音で辛辣極まる雑言を繰り出すと、クロコダイルは長い長い溜息を吐いた。一日中玩具の責め苦に耐えた挙句の狼藉と心労に、彼は心身ともに満身創痍だった。左手が健在だったら両の手で顔を覆っていただろうが、生憎代替品すら席を外しているので、右手で目元を覆う。
「だってお前、恥ずかしいことさせられたり言わされたりするの好きだろ? 丁度いいから使おうと思って」
「断じてそんなことはねェし何がどう丁度いいのか解らねェよこの年中無休発情期」
 歯切れだけはよく、けれどぐったりと身を横たえたまま、クロコダイルが言う。
「言っただろ、今日は死ぬほどサービスするつもりで来たって。――――なァ」
 唐突に近くなった呼びかけにてのひらを外すと、枕に頬杖をついたドフラミンゴがこちらを覗きこんでいた。薄い唇をにいと持ち上げて、邪気に満ちた笑顔を向けてくる。
「これを言われるのは俺が最初だろ?」

 ハッピーバースデイ、サー・クロコダイル。

 見開いたまなじりにくちづけを落とされ、クロコダイルは呆然とそれを甘受した。
 今回の定例会議は九月の四日、零時を越えれば次の日付は五日、はそう言えば、そうか、己の。
 ならば、もしや。
「…………今日の一切合切は、全部誕生祝いとかほざく気じゃねェだろうなァ……?」
「フッフッフ! まさか!」
 言うなり、ドフラミンゴはべろりとクロコダイルの舌をさらった。噛まれないよう、抜け目なく顎を押さえて存分に粘膜を暴く。深いが短い口腔への愛撫は、退ける前に終わった。
「五日になってまだ三時間しか経ってねェんだぜ。精魂籠めたご奉仕はまだまだこれからだろ?」
 クロコダイルの上に落ちかかる影は、うっそりと暗い。
 それは恐らく、間接照明のみに抑えられた室内の灯かりのせいだけではなかった。



 後日、そのホテルは七武海の宿泊によって、経営者の意図通りに一大ブランドを築き上げた。おまけに、中でも指折りの名声と財力を持つサー・クロコダイルとドンキホーテ・ドフラミンゴが進んで連泊したという事実は、ホテルの矜持にすらなった。
 しかし、後者だけが上機嫌に推薦状まで提供した理由は、当人達より他に知るものはなかった。



 ちなみに、チェックアウト時まで張っていたある新聞社の記者は、クロコダイルの指に光る指輪がひとつだけチェックイン時と異なっていることに気付いたが、余りに些細なその変化は、どのメディアにも報道されることはなかった。

 


蛇足:
九月四日の夜に某ホテルの支配人の寿命は十年ほど縮んだとか縮まなかったとか。
ホテルの周りに押し寄せていた多数の報道陣の中からひとりだけ消えたとか消えないとか。
その記者がこっそり持っていたはずの録音機材が、何故か数日後某桃色の羽の人のお屋敷に無傷で移されていたとかいないとか。

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