【タツモチ】
え、挑発とか乗るひとだったっけ達海さんだっていつもしたいのかしたくないのか解んないじゃないねえ、と押し倒した持田がチームメイトを嗤う時と同じくらい目を見開いて言うので、挑発だったのと耳殻に囁いてみた。びくつく仕草が肯定でも否定でも、もう結果は決まった後だったけども。
頭をぶつけた直後、ぬるりと口の中に滑りこんできた感触に声が洩れた。色気のないそれは悲鳴にすらならず、不恰好に鼻から抜ける。なにこのひとうまい。驚きどころが違うのは自分でも解っていた。柔らかく舌を吸い上げられながら、持田は遅れ馳せに真実を踏み抜いてしまったことを悟った。
(バリタチ達海さんに頂かれるノンケ持田)
前歯で挟んで引っ張ってみると思いの他柔らかかった。持田くんってばサッカー選手なんてやってるのにお肌綺麗。そんなことを考えたが生憎口は相手の頬を食むのに忙しいので、咥えた皮膚をぺろりと舐める。何してんのと言われて理由を考える。ほら、あんまり可愛いと食べちゃいたいって思うじゃない。
たったひとつの天窓がゆっくりと閉ざされるような、あの全身が真っ暗闇に浸ってゆく感じを覚えている。恐怖と拒絶で心臓が止まってしまえばいいと俺はつよく願ったけれど、お前にはそうしてほしくないと思うのは俺のエゴだ。ねえ持田、それでも世界は動いてくんだ。
「持田」
何。何なのなんでそんな欲情してますって匂い垂れ流してんの。確かに今日はETU勝ってたけど今日も達海さんのサッカーは面白かったけどだからってねえ、ああ、もう、あたまんなか、くらくら、して、ちくしょう、ちがう、だきしめるんじゃなく、て、だいて、って。
(セクピスパロ・ジャガーの達海さん×ヤマネコの持田)
【コシハタ】
いつものサングラスを外さなければいいのに(手元が危ないからだろうが)手の甲で目の端を擦り、時折すすり上げている様子を横から見下ろしていたら潤んだ目がそろりとこちらを見た。
「…あの、やり辛い、んスけど」
まあ、そうだろうな。思いながら場を離れることはしない。
(玉ねぎを刻む羽田を見ているコシさん)

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