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萌えた時に萌えたものを書いたり叫んだりする妄想処。生存確認はついったにて。
30 . April
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25 . September
『据え膳上げ膳ひどいひと』の続きです。引き続きほぼ致してるだけなのでこれだけでも平気かと。
何だかんだあって合意の関係になりました(という部分をすっ飛ばしています)。甘め。


肉体年齢18歳以上の大人のお嬢様だけ、続きからどうぞ。






























「すまない、」
 出し抜けに言われ、緑川は顔を上げた。相手の表情は腕に遮られて見えないが、辛うじて覗いた口元から察するに発言と連動した、端的に言えば申し訳なさそうな様子であることはなんとなく察せられた。体勢も状況もそぐわない謝罪に、かるく首を傾げる。
「何がです?」
 謝るならば、むしろ自分の方だろうと思う。後藤自身にとっては災難でしかない事故――ハプニングでは利かない出来事だと考えれば――をきっかけに、なし崩しに関係を持つようになったのは、完全に緑川の意図に沿ったものだ。悪意はないと名言できるものの、つい最近まで同性との性行為について考えもしなかった彼の脚を、たった今のように開かせているのは、何だか完全に悪い大人のように思える。歳で言うなら、後藤の方が六つほど年上なのだが、経験値の問題だ。
 なので、頭を下げる覚えはあっても下げられる覚えのない緑川は、身を乗り出して後藤を窺った。
「ぁ、っう」
 その拍子に、じりじりと納めていたものが更に埋まり、慌てて喰いしめた歯列の隙間から呻きがこぼれた。最初の頃の、咬みちぎるような圧迫はほどけているから、裂けるほど痛くはない、はずだ。証拠に、ゆるゆると腰を引けば、突き立てた肉をくるむ粘膜はやわらかにうごめく。
「辛いなら我慢しないでください」
 翳された腕をさすり、ずらそうとしたが、その覆いは思いの外かたくなだった。無理に外すことはせず、正常な呼吸を促すように、緑川はてのひらを腹に滑らせる。
「大、丈夫、だ、……その」
 お前こそ。
 消え入る手前で拾った囁きの後に、何が続くのか解らず、尋ねるように名前を呼ぶ。肌を合わせているのに、呼ばわるのは互いに名字のままだ。
「だから、何がです? 教えてもらわないと答えられもしませんよ」
 言い方によっては責めのニュアンスを持ちかねない台詞を、穏やかにいさめる口調に落とし込む。働いた悪戯の白状を渋る子供の背を、優しく押すような声音で、後藤に届かせる。ためらう間があって、薄い唇がひらいた。
「だって、その、気持ち悪いだろ」
「……何がです?」
 解答がもたらされるかと思いきや、耳の遠い人間のように同じ言葉を繰り返すことになった。後藤が酷く言いづらそうにしていることしか、緑川には解らない。
「もうすぐ四〇の男が、こんな、情けない」
 声とか、格好とか。
 瞬間、納得したような気がしたが、それは錯覚だった。言葉のひとつひとつと、会話の前後関係を全て繋げてみて、緑川はできた答えを持て余す。
 気持ち悪い、とイコールになるのは、もうすぐ四〇の男の情けない様子であるらしい。三三の緑川と三九の後藤では、どちらを指すかなど愚問である。つまり後藤は、自身の現在の有り様が緑川に対して不快感を与えているだろうと述べているわけだ。それが、どうしても理解できない。
 あられもない姿勢を取らせているのも、仕事中に談笑している時とは明らかに異なる声を上げさせているのも、緑川である。彼が望んでそうさせているのに、謝られる理由が解らない。
 いや、解っていないのは恐らく、後藤の方だ。
「……ははっ、何て言うか、本当にもう」
 堪え切れずに、緑川の口角が上がる。短く笑われて、腕の間からこちらを覗き見る後藤に視線を合わせたまま、ずるりと粘膜から抜き出して打ちつける。
「ふ、ぅあ! ……っうぅ、ん…!」
 引き締めた顎だけでは閉じこめられなくなった喘ぎを、自らのてのひらで後藤が塞ぐ。その手首に、緑川が噛みついた。
「これ、要りませんよ。聞こえない」
 痛みを感じない強さで前歯を食い込ませて、顎を引く。けだものじみて甘える仕草を見せた直後、今度は手加減なく両の手を捕らえて頭の脇に縫いつけた。露わになった顔には、隠せない羞恥が色濃く滲んでいる。
「ちゃんと自覚してください。一体、俺が誰に欲情して勃ててると思ってるんです」
 決まり悪そうに伏せられた瞼にひとつ、唇を落とす。こまかく震える薄い皮膚が、庇護欲と支配欲を同時にかき立てる。
「俺はね、後藤さん」
 性感帯だと承知しているので、緑川は耳殻を息で濡らすように囁く。むずがるように顔が背けられ、その仕草はかえって弱点をより明らかに晒した。
「っ、ひぅ、みみ、や」
「あなたの声にも顔にも身体にも、妙にずれてるところにも全部興奮しますよ」
 形のいい軟骨をやわらかく咀嚼すると、なかで食まれ返された。無意識の誘いに応え、本格的に抽送を始める。
「ぅあ、あ、っ、んん、っあ!」
 激しく事を進めれば、後藤が愉悦に呑まれるのは早い。つまらないことを考える理性も、どこかに追い出してしまえる。せっかく身を委ねてもらっているのだから、相互の認識のすり合わせは後にしようと、緑川は決めた。

(こんなにも自分に無頓着だから、俺に引っかかったんだろうに)

 既にして逃がす気は、欠片もないけれど。





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