本誌の教授の性的さとスパコミの戦利品にいてもたってもいられずこうなりました。教授まじ教授。
・ダルファー×ミルコビッチ
・通訳+ミルコビッチ
・マクレガー×ミルコビッチ
の3本です。マクミルだけ致してるので一応お嬢さんは閲覧をご遠慮頂くかたちでお願い致します。
お題は
伽藍様からお借りしましたー。
【彼は私をダーリンと呼ぶ】(ダルファー×)
カンファレンスの会場に響いた、その薄ら寒くなる呼び方は、耳にする度首をへし折られても振り向きたくないと思っている類のものだった。
それでも、応じなければ相手は何度でも同じ呼びかけを繰り返すことが解っていたので、私は嫌悪感を抑えてそちらに目をくれる。
「悪ふざけも場を弁えて頂けますかな、ダルファー監督」
つとめて声を張り上げることはしない。そんなことをしなくとも、自分の声が通ることは知っている。私を呼び止めた本人にも、奇異な呼称に視線を寄越した周囲にも、辛辣さを染ませた返答は届いているはずだった。だが、一向にその楽しげな表情は崩れることがない。長身と言うより巨体と表した方が相応しい男は、ためらわずにこちらへ歩みを進めてくる。握手を求める距離を通り越す気だ、と悟り、私は接触する直前で一歩真横へ身体をずらす。案の定、一瞬前まで私が立っていた場所で、奴は空気を羽交い絞めにした。残念そうに眉を下げるその顔が、酷く癪に障る。
「久しぶりだというのに冷たいじゃないか、ダーリン」
ぐつり、と鳩尾が熱くなる感覚に、先日通訳と話していたことを思い出した。話題は私の母国語と彼の母国語の差異について。この国のイディオムはなかなかに的確だ。
はらわたが煮えくり返るとは、まさにこのことだろう。
【枯れた声がとってもセクシー!】(通訳+)
おはようございます、お目覚めでしょうか。これから部屋まで伺います。
キャンプの最中は、そう電話を入れてからドアをノックするのがほとんどルールのようになっていた。この手順を踏まないと、そもそも彼は目覚めもしない。無機質さすら感じさせる怜悧な外見を裏切って、このクラブの采配を握る彼は異様に寝覚めが悪かった。コールを入れた時に起きていたことはまずなく、お目覚めでしょうか、というフレーズは徐々に形式的なものになっていった。いい歳をした男が、一人で起きられないということはないのだろう。けれど赴任して初めてのキャンプの初日、人に起こされずにグラウンドに出てきた彼の機嫌の悪さは、心臓に悪いほどあからさまだった。選手達も戦々恐々としていたが、一番勘弁してほしいと思ったのは、多分俺だ。四六時中横に立って、彼の言葉を伝えるのが俺の仕事なのだから。
だから、自分の働きやすいように上司のコンディションに気を配るのも、最早俺の仕事の一部になっている。相変わらず長い呼び出し音を耳にしながら、玄関横のキーを抜き、俺は部屋を出る。不意にコールが途切れ、たっぷり三秒は経った後、聞き慣れた声がスピーカーからこぼれる。
『………………君か』
寝起きの彼の声は、今日もかすれている。
【キスしてやるから早く来い】(マクレガー×)
呼べば脇目もふらずこちらへ来て、背筋を正し指示を待つ。最初は呆気にとられたものの、それが彼なりの忠節の示し方なのだと理解してから、ミルコビッチは気に留めなくなった。軍人じみた態度を取っていても、命令なしには何も出来ない木偶の坊ではないし(もしそうであれば選手として起用することはまずない)、自分以外には常識的なコミュニケーションをとっているようだったので、行動を改めさせることは特にはしなかった。戦争映画好きが少々度を越してしまった、それだけのことだろう。
とは言え、この場において絶対服従を貫かれるのも如何なものか。
「…………マクレガー」
「イエッサー」
レスポンスの速さはいつも通りだが、流石に勢いはない。がっしりと筋肉の乗った身体には、運動のせいだけでない汗が滲み、滴っている。繋がってさあこれから動かんとする頃合に、制止をかけられていれば当然の状態だった。
確かに言った。覆い被さってくるおおきな背と、苛立たしくなるほど入念に慣らされたにも拘らず、身の内をおそろしいほど拡げてくる肉に、反射的に言葉が口を衝いて出た。
しかし、この状況で「動くな」と言われて、それを愚直に守るのはどうなのだ。
「……その返事はやめろ」
細くしずかな呼吸に努めて、異物の侵入を訴える身体を宥める。粘膜が接しているそこに意識を寄せると、鈍い脈動までが感じられる。打たれた肉は熱く硬い。若いな、と当たり前のことを思う。
「はい、監督」
額から伝った汗が、顎まで滑ってミルコビッチの胸を打つ。苦しげに寄せられた眉の下の両眼は、常と同じく視線を合わせようとしない。
「私を見ろ、マクレガー」
「はい、監督」
明るいヘーゼルの瞳が、まっすぐに向き合う。今すぐ突いて揺さぶりたいと、その目が訴えている。そのくせ、許可を求めることすらしない。機械でもあるまいに、己の意思ぐらい主張してみたらどうだ。
「お前はこんな時まで、私に従うのか」
ミルコビッチも、薄く汗をかいている。現役選手と老いる一方の身体では、代謝が違う。整髪料の抜けた髪をゆるくかき上げ、彼は咎めるようにマクレガーの腰を挟む。腿に連動して緊張を強める内壁に、頭上で息を呑むさまがありありと見て取れた。
「監督の意に沿わないことは、できません」
どの口が、と思わず唇の端をゆがめる。物欲しげな顔を晒して、よくも言えたものだ。
「マクレガー」
長い指をひらめかせて、その顎を掴む。力をかけずとも、手首を返せばたやすく彼は引き寄せられた。視線をからめとったまま、逸らせないほど顔を近づけさせ、ミルコビッチはゆったりとマクレガーの耳に唇を寄せる。
「軍隊ごっこも大概にしろ」
背筋の冷えるような、それでいて剥き出しの欲望をざらりと撫で上げるような、やわらかな叱責だった。ぶるり、と間近に迫る肩が大きく震える。恐れによるわななきでないことは、未だ責め入られたままのなかで解った。肉の落ちた腰を、節くれだった手が抱え直す。
正しい選択を褒めるように、ミルコビッチの指が太い喉を撫でた。

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