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萌えた時に萌えたものを書いたり叫んだりする妄想処。生存確認はついったにて。
30 . April
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09 . October
凝りもせずドリゴトです。大人向けなので肉体年齢18歳未満のお嬢様は見てはいけません。
セクピスパロで重種:アリゲーターのドリさん×中間種:秋田犬の後藤さんです。需要とかしらないよ!
セクピスパロとはなんぞや、という方は以下の説明をご一読の上お進みください。

※「SEX PISTOLS」(寿たらこ先生著)のダブルパロです
・普通の人間と、魂に動物の特徴・能力を残した斑類(まだらるい)という人類がいる設定
・斑類は力の強さ(=セックスアピールの強さ)で 重種>中間種>軽種 に分かれています
・動物の特徴ということで動物になったりフェロモンが出せたりします(重種のフェロモン=中間種・軽種が即時発情)
・嫁に他の雄が手を出さないように自分の匂いをつけたり(マーキング)します
・斑類同士であれば同性で子供を作ることが可能です(この場合便宜的に産む方が雌と呼ばれます)
・ちなみに達海さんは重種:ジャガーです

とりあえずドリさんと後藤さんが獣っぽいことだけ抑えて頂ければ大丈夫だと思います。ではどうぞ。





























 痺れを切らした、とか、我慢の緒が切れた、とか、そういうことなのだろう。
 困ったような笑顔をけだものの本能でねじ伏せるのに、少しもためらいはなかった。



「後藤さん」
 事務所に入った時から、背中がびくついているのは見て取れた。毎度のことなので見ないふりをして、緑川は柔らかくその肩に手を置く。
「お疲れ様です」
「あ、うん、緑川もこんな遅くまで」
 振り向いて見上げる後藤の視線は、まっすぐ定まる前に振れて揺れる。控え目に捉えても戸惑いがちな、ともすれば怯えたような様子にも、既に馴染んだ。原因なら解っている。
「俺が最後です。後藤さんはまだ?」
 立ち上がったままのノートに目をやって、油断させた隙にするりとおとがいに手を滑らせる。いよいよ肩を震わせる後藤に、思わず笑う。苛立ちを覆うために浮かべたそれは、苦笑のように見えただろうか。
「……どうしても駄目ですか」
 顎の裏の薄い皮膚を、ゆっくりと撫でる。逃げ道を与えるつもりで言ったわけではなかったが、後藤はおずおずと首を縦に振った。
「…言ってるだろ? 中間種の俺じゃ、お前には釣り合わないって」
 眉を下げ、申し訳なさそうに口を開く後藤の頭に垂れた耳の幻覚が見える。生まれついての斑類なら、魂現の制御は呼吸に等しく、そうそう自らの魂を意図せず晒す羽目には陥らない。それを退けて、遺伝子の奥から引きずり出してやりたい欲求が、随分前から消えない。
「そんなに真剣に考えてくれなくてもいいのに」
「遊びなら尚更付き合えないよ」
 返答は思いの外早かった。ほんの少し硬くなった声音と、逸らされた視線も意外で、思わずその顔を覗き込む。
「遊びじゃ嫌ですか」
 くろぐろと濡れた瞳に、訊くまでもない答えが書いてある。否、顔を合わせずとも解るし、最初から解っていたことだった。首筋に鼻先をうずめて深く息を吸えば、肺に満ちるあまやかな匂いがそのまま真実だ。誘引してもいないのに、彼の身体は緑川を欲している。
 それを真実たらしめないのは、ひとえに彼の強情さに尽きた。
「だって、それじゃ、お前にメリットが」
 言い募る後藤の唇を、舌ごとさらう。同じ粘膜同士でからめて吸い上げ、唾液を交わして呼吸まで奪う。顎に添えた手から、喉仏の上下する動きが伝わってきた。ようやく抵抗を思い出し、押し退けようとする腕を掴む。力よりも確実に逆らえない方法で、抗う身体を従属させる。
「ん、んぅ、っぁ、あ……ッ」
 わななく唇が堪えかねて外れ、過剰に艶を含んだ喘ぎがこぼれた。息を次ぐごと、ぐらぐらと後藤の身体が芯を失ってゆく。斑類の摂理に頭を垂れる肉体は、加減なしで解放された重種のフェロモンにあっけなく屈していた。身体だけなら驚くほど速やかに、緑川は合意をもぎ取る。
「頼む、み、どり、かわ、だめ、だ」
 この期に及んでまだ拒もうとする後藤の、ネクタイに指をかける。既に首を支えることすらあやしくなっている彼は、緑川の手に自分のそれをかぶせるのが精一杯で、いっそ促しているようにも見えた。
「そのお願いは、いい加減聞き飽きたんでね」
 きしゅ、と高い音を立てて、後藤の首周りがゆるくなる。そのままてのひらを下ろし、胸に張りつくように這わせると、指先にちいさく凝った感触があった。シャツの上から遠慮なく摘み、じわりと捻り上げる。
「っひ、ぁ……っ」
 上がった悲鳴はすっかりとろけて、ダイレクトに腰の奥へ響いた。強制的に引き出した雌の匂いに、たがが外れそうなほど高揚している己を自覚し、舌をなめずる。潤んだ虹彩の中に見た自分は、文字通り眼の色を変えていた。
「あなたを俺の雌にしますよ」
 腕を握り込まれ、後藤は弱くかぶりを振った。
 それが、彼にできた最後の抵抗だった。



 男を受け入れるのは初めてだと言うので、穿つ粘膜はなるべく時間をかけて慣らした。
 逸る気持ちを抑えてマンションまで連れ込んだ時点で、相当な自制心を消費した緑川は、それでほぼ忍耐力を使い果たした。やりたい盛りの十代でもあるまいにと、自嘲する余裕すら既にない。情欲と征服欲がいちどきに押し寄せているのだ。急くなと言う方が無理だった。
「う、ぁ…ぁあ、ァ、――――っ!」
 人工的な粘液でどろどろに濡らした孔に、かたちを覚えさせるようにゆっくりと、下腹が密着するまで突き入れる。猛った肉が包み込まれる感触に、ぞくりと背筋が震えた。
「ほら、入りましたよ」
 震える指先をとって、繋がったそこに触れさせると、後藤は淘然とした瞳に諦念の色を刷いた。けれどそれはほんの一瞬で、腰を打ちつけ始めれば、彼は背を引き絞って緑川に縋った。
「っあ、はっ、い、ぁ…っ!」
 じりじりと退き、ひと息に突き込む。指で探り当てた勘所を、肉の先端で繰り返し押し撫でて苛める。湿った粘膜の擦れる品のない音が、断続的に生まれて部屋の空気を薄めた。互いのフェロモンはとうに飽和していて、欲情の針は振り切れた状態で壊れている。雌が種を残せないコンディションであることを除けば、交尾そのものの交接だった。
「あ、あっ、あ、っん、ぐ……っ」
 弛みっぱなしになっている唇の中の、浮いた舌を咀嚼するように噛みとる。緑川の首を巻いた両肩の裏から腕を滑り込ませ、上体を固定して深いところで抜き差しすると、後藤の踵が背骨の終わりを蹴った。粘りつくようになおも続ければ、粘膜の奥がびくびくと痙攣して、互いの腹の間にしろい濁りが散った。
「…っは、ま、待っ、つら…っあ!」
「でしょうね」
 忘我の名残を惜しむように、まだ絞めつけるなかを休みなく貫く。鋭敏になっている前も、吐き出したものを塗りこめるように扱き立てると、まなじりからこめかみへ幾筋もしずくがこぼれた。許容できる上限を越えて与えられる快楽を、身体が必死に逃がそうとしている。それでも、緑川は責めを休めなかった。
 羞恥や理性はおろか、ひととしての知性すら剥ぎとって、ただのけだものにしてやりたい。そんな欲求に支配されている自分こそけだものだと、頭の片隅で理解していた。
 できれば説き伏せて抱きたかった。けれど、これ以上は待てなかった。
 後藤は中間種の犬神人だ。軽種ほどではないにしろ、階級で勝る斑類などいくらでもいるし、現に今の監督だとて猫又の重種である。マーキングもせず他の雄の中に置いておくには、もう心に波が立ちすぎていた。後藤の心底が匂いから透けて見えていただけに、今一歩で触れられない焦燥感が身を灼き続けていたのもある。
「ぃ、っや……またっ、ぅあ、ぁあっ!」
 ひゅ、と息を呑む音がする。肩を掴む指の爪が、獣じみて鋭くなっていることに、おそらく本人は気付いていない。皮膚を浅く破る痛みにも構わず、緑川は腰を送る。後藤が関係を拒み続けた本当の理由も、それが重要なものであるか否かも、彼はまだ知らない。どう転ぶにせよ、無理は押し通すと決めていた。
 もういいでしょう。
 尖りかけた犬歯で耳の下に噛みつき、荒い息すら愛撫に変える。無我夢中でしがみついてくる彼を愛おしいと思うのは、獲物を喰らう捕食者の心理だった。



 もういいでしょう、後藤さん。

 早く諦めて、




 諦めて、俺のものになればいい。





 糸が切れたように訪れた眠りから覚めると、窓の外はぼんやりと蒼かった。
 背を向けて横たわる後藤と自分の間に間隔があって、彼がもう目覚めていることを確信する。どの面下げてと悩む神経の細さは生憎持ち合わせていないので、緑川は躊躇せず言葉を発した。
「軽蔑しました?」
 寝起きの声はかすれていて、思ったよりも深刻に響いた。そんなつもりはかけらもなかったが、相手を揺さぶるには丁度いい。
「したならしたで構いませんけど、俺はあなたを逃がすつもりはありませんから」
 念を押すように、自分のつけた鬱血の痕を伸ばした指で辿る。盆の窪よりわずか上につけたものは、襟で隠れないかもしれない。どちらにしろ、今日の後藤は同類が見ればすぐにマーキング済みと知れるので、大した問題ではない。そのことが後藤にとって大問題なだけだ。
「……どうして、ここまでする必要があったんだ」
 ようやく得られた返事は、頼りなくざらついていた。やや喉が嗄れているのは、自分のせいだろう。
「こうでもしないと、永遠に俺に抱かれてくれなかったでしょう?」
 フェロモンの行使によって従わせるのは、本当に最終手段だった。最初のうちからぼんやりとは考えていたが、悠長に構えている間はまさかすまいと思っていた選択だ。犬の情のこわさと、それに伴う頑固さを完全に甘く見ていた。
 跳ねた黒髪をひと撫ですると、後藤は頭まで掛布を引き上げてしまった。ご機嫌の回復はなかなか難しいかもしれない。自業自得だと腹を括って、緑川は手を引いた。
「……だって、抱かれてもお前が俺のものになるわけじゃないじゃないか」
 ブランケットの下から聞こえてきた反論を、飲み込むのには数瞬を要した。
 何だか今、凄いことを言わなかっただろうか、このひとは。
「…………だから、嫌がってたんですか?」
 繁殖能力が低く、希少な重種は、往々にして複数の交際相手を持っていることが多い。個としての色恋より、種の存続を優先するのが斑類の常識だし、ひいては二人の間の常識でもある。仮に緑川に後藤以外の雌がいても、彼にそれを責めることはできない。
 それを承知した上で、このひとは今、何と言っただろうか。
「何でもない、忘れてくれ」
 もそりと丸まったブランケットをくぐり、自分でも呆れるほど勢いづいて裸の背を抱いた。ぎゃ、と可愛くない呻きが顎の下から洩れる。覆いは取らせてくれなかったが、てのひらで触れた頬と耳ははっきりと熱かった。
「忘れませんよ。それって俺が好きでどうしようもないって意味じゃないですか」
 答えは無言、かと思いきや、沈黙を肯定と受け止めかけた頃に、後藤は小さく、本当にちいさく呟いた。





「…………そうだよ」



 恋の墜ちる先は奈落なのだと、その日緑川は初めて知った。




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