※注意書き
・ドラゴン×くまです。鰐受でもドフ受でもございません。
・えろくはないですがいかがわしいです
・多分風俗界(SM)現パロ
・縄師(師匠)×縄師(弟子)が前提
・ちょっと電流
・ちょっと縄
以上の描写をご容認くださり、かつお好きな身長差に脳内修正が可能な方は下へどうぞ。
親切心から撮ってやろうか、と尋ねるのはいつものことで、首を振られるのもいつものことだ。首が振れなければ言葉で、それも叶わなければ鈍い唸り声で、くまはかたくなに拒絶する。理性的で物静かに見える(実際それは虚飾ではない)男の、嫌悪が剥き出しになる瞬間は、いつでもドラゴンを心愉しくさせた。
白いシャツの上から、とっぷりと緋に浸かった縄を回す。本当なら、じかに皮膚に這わせたい。男という性別のくくりの中で、これほど縄の映える素体もないと、ドラゴンは思う。これで被虐癖があれば完璧だったのだが、幸か不幸かくまは自分と同じ側に立つ人間だった。自ら同類だと嗅ぎ分け、接触を持ったのがそもそもの始まりなのだから、サディストとマゾヒストの構図に当てはまろうわけはなかった。
けれど、結果的に奇妙な主従関係は結ばれた。ドラゴンが一線を退いても、それは変わらない。
身体も心も求めていない。それでも、くまは自らに縄打つことを彼に許している。穏やかななりをして、気位の高い男だ。教えを請う為とは言え、彼がドラゴン以外に戒められることは、天地が返ってもない。縄師が必ずしもサディストでないのは知られていることだったから、同僚や同業の人間にきやすい誘いの言葉をかけられることはあったが、くまは全てにひややかな一瞥でもって応えた。
「髪を伸ばしたのはいい選択だな」
女のように、一方の肩へくせのある髪を流してやりながら言う。首にかけた縄と、ほつれたくろい髪の筋の対比がうつくしい。うつむきがちの角度で固定したせいで、あらわにした太い首筋がよく見える。隆々とした筋肉がもう、そこから窺える。
骨と肉を指先で読むように、ドラゴンの手がくまの胸を這う。縄の下のシャツを押し開き、胸板に比すればささやかな突端を撫でる。両腕を戒められた肩ごと、くまの上体が浅く退いた。胡座のかたちで足首と腿を繋がれた姿勢では、それが最長距離だ。
「そこまでは頼んでいない」
布越しに刃をひたりと当てるような、やわらかく有無を言わせない声。薄く陽が差し込む真っ昼間のスタジオには、随分と似つかわしくない色をしている。見かけも性分も、物騒なのはお互い様だ。
「全くお前は、いつまで経っても」
火の粉がかるく弾けるような音がして、くまの身体が傾いだ。痛みというより衝撃で、スラックスのすぐ上、腰骨の辺りにほそい針の束のような感触がある。それを視認する前にまたぱちりと音が立った。今度は、呻きが洩れる。
「……ぃッ、だから、」
「我儘を言うし、注文は多い。困った弟子だ」
手の中のロッドの矛先をずらし、腿の付け根に押し当てる。殺傷能力を持たないよう設計された器具でも、注ぎ込まれる電流に触覚が怯える。無表情を保っていたくまの顔が、険を含んでドラゴンを睨め上げる。
「少しぐらい、虐げられる感覚も味わっておけ」
ぱちり、ぱちりと針が打たれる。身体がびくつくのは無条件反射で、どうしようもない。必要ない、と与えられる痛みの合間に呟かれ、ドラゴンは耳を寄せる。
「あんた以外にこんなことをされるなら、舌を噛む」
子供のような潔癖さに笑い、彼はロッドの先を股間に滑らせた。
蛇足:
完全なる内輪ネタです申し訳ありません。(SMバーを覗いてきました)くま受に対する心意気が冗談でないことは表明できた気がします。

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