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萌えた時に萌えたものを書いたり叫んだりする妄想処。生存確認はついったにて。
30 . April
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04 . September
やっとこさ連動できました…。
ドフ鰐小説アンソロ第2弾に寄稿させて頂いた、「二匹の猫が死んだ理由」の後日談です。こちらでもなんとなく解るようにしたつもりですが、何分9割方やってる話なのでいまいちことが不明瞭だったらすみません。
とりあえず力関係が鰐>>(超えられない壁)>>ドフなドフ鰐だと押さえて頂ければノープロブレムです。


注意
限りなく鰐ドフに近いドフ鰐です
・羞恥とか乙女とかストイックとは無縁の肉食鰐在中(バイ)
・鬼畜とか変態とか絶倫とは無縁の草食フラミンゴ在中(元ノーマル)
・ログインしてるのはドフラですが終始責められっぱなしです
・要するにドフラがかわいそうな仕様です
・18歳未満のお嬢様は閲覧をご遠慮願います

了解頂いた方は続きよりどうぞー。












 ピンポイントに同性だけを惹きつけるクロコダイルの気紛れで、なし崩しに籠絡されてしまったドフラミンゴは、彼と寝るようになって様々なことを知った。
 それは例えば、整髪料を落とした黒い髪が思いがけずやわらかであることだったり、朝はコーヒー、それもとりわけ濃いブラックを好むことであったり。
 そして、ベッドの上では、普段の性格を更に濃縮したような傲慢さを見せることであったりした。
「ちょっと待てよ」
「待たねェ」
「待てって」
「待たねェっつってんだろ」
「待ってください待っていやホント待ってって……!」
 口調が命令から懇願に変わったところで、クロコダイルは渋々手を止めた。
「何が不満だ」
 ほんの少し顎を上げ、クロコダイルは眼下のドフラミンゴを見下ろした。
 ドフラミンゴと書いて獲物と読んでも差し支えなさそうな、そんな目つきをしている。流石に、鋭い牙を大きな口にぐるりと携えた捕食者の名を持つだけはある。プランクトンを糧に慎ましく生きる鳥などひと噛みで首をへし折らんばかりの、静かな獰猛さが垣間見える。自然の摂理に倣って素直に食われる気はさらさらないドフラミンゴは、機会を得て抗議の声を上げる。
「お前、この状況で喜ぶ奴がいると思ってんのか! ほどけよこれ!」
 掲げた両腕をばたつかせると、その先でがしゃがしゃと重たく耳に障る音が立つ。煩わしげに眉を寄せたクロコダイルは、鉤爪の先でドフラミンゴの両手首を掬い上げた。正確には、手首を繋ぐ頑丈な鎖を。
「安心しろ、縛られて嬉しがるようなリアクションは求めてねェ」
 全くもって何のフォローにもならない返事に、ドフラミンゴはそういう問題じゃねェよと至極まっとうな非難を飛ばした。
 考えてみれば、バカンスついでにかのレインディナーズで遊んでやろうかと思っていたところへ、タイミングよくクロコダイルからアポイントが入ったことが、まず怪しかった。丁度良かった俺今度そっち遊びに行く予定なんだけど、と言った時、妙な間があった気がするし、その後噂のせいで正面から来られると何かと周りの客が面倒だから、関係者入口から入って来い、と言われたのも、どことなく違和感があった。
 確かに彼は世間体や体面を気にするたちであるし、プライドも図抜けて高いので、他人の存在によって己の評判を落とすのは許せなかろうと思われた。身体を繋いだ一件からドフラミンゴも開き直って(または諦めて)しまったので、七武海二人の熱愛発覚なる誤報は当事者に否定されることもなくなり、最早二人の関係は噂を超えて広く定着しつつある。だが、人々の認識はそのレベルで留めたいとは、クロコダイルの弁だ。つまりは、今自分の下敷きになっている男が下手を打ち続けたように、新たな想像力の餌となる情報は与えたくないということであった。
 ドフラミンゴとしても、アラバスタが誇る英雄の恋人として周囲の視線を集める己を考えるだに複雑な気分になったので、おとなしく彼の指示に従うことにした。元より注目されることには慣れている身だが、勘違いを多分に含んだ憧れや羨望の目で四六時中見つめられるのはまた別問題である。
 お互いに合意し、七武海の権力と財力と人脈を大人気なく行使して、メディアの報道だけは握り潰したのだ。これ以上世間に好き勝手囁かれる材料を増やしたくないのは、ドフラミンゴも同じだった。
 ていうか、恋人じゃねェし。
 一般論で言えば、恋人というのは呼び出した相手を床下に仕込んだ海水に落として海楼石の手錠をかけた挙句、とどめに同じ素材で作られた指輪を両の親指にはめたりはしないものである。あまつさえ、その指輪を自分で取ってしまわないように、指を組ませた状態で更に縛ったりはしない。絶対しない。手錠の鎖を何らかの固定具(ドフラミンゴの角度からは見えないので判然としない)でベッドヘッドに連結したりはしない。世界を一周するほどの歩数を譲って現状に目を瞑っても、愛だの恋だのという感情がまず存在しない。
「別に命をどうこうしようなんざ思ってねェよ。身の安全は保証してやるからおとなしく伸びてろ」
 間違っても、鉤爪のカーブで顎を上げさせながら言う台詞ではなかった。
 殺意は感じられないが、確実にドフラミンゴは危機の真っ只中にいる。何しろ海楼石の重ねがけでどうしようもなく萎えている身体の上に、あのサー・クロコダイルが乗っているのだ。先程鎖を鳴らせた足掻きとて相当力を振り絞ったのに、それすら細い鉤爪の先で吊られておしまいなのである。労力と発揮される効果が全く吊り合わなくなっている。
 そんな状況下で、傲岸不遜と狡猾を上等なコートでくるんだような男が自分の命を握っていたら、時代はスマイルが信条のドフラミンゴとて真顔になるというものだ。
 する、とやや温度の低い手が胸元を滑った。元から大きく開いたデザインのシャツを更にぐいと広げて、クロコダイルはしなやかに筋肉の乗った身体を露わにする。心臓の真上に置かれた手は、速いリズムで脈動する心臓の動きを伝えていた。断じてその原因は恥じらいや期待ではない。
「クハッ、小動物かよ。まァそのままいい子にしてな」
 鼓動の速さから連想したのか、クロコダイルが小さく噴き出す。よもや自分がフェレットやスナネズミと同列に並べられる日が来るとは、予想もしなかったドフラミンゴである。
 だが気分を害する暇もなく、彼は異質な刺激に跳ね上がった。もっとも、実際にはひくりと震えただけだったが。
「……っ、あの、ちょっと、クロコダイルさん、そこ」
 思わず顎を引き、摘まれた部分を見てしまう。
 周りよりも皮膚が薄く、気温や心理状態によって微妙に状態が変化する、男ならあるかなきかのポイント、率直に述べれば乳首は、しっかりとクロコダイルの指にとらえられていた。
「この体勢で何をする気か解らねェとか抜かしたら干すぞ」
 そう言われて、ドフラミンゴはようやく自分がセクシャルな意味で襲われていることを自覚した。と同時に、新たな危機感が芽生える。思い出したのは、初めて肌を重ねた夜の会話。
 クロコダイルは、女役専門ではない。
「勘弁してくださいマジで勘弁してください物理的に無理ですそんなの入りません」
 ノンブレスで青褪めながら懇願するドフラミンゴは、ふるふると首を振った。四十路に手が届こうという男にこの効果音はいかがなものかと思うが、海楼石の効果がなければ濁音くらいはついていたかもしれない。短く整えられた爪の先で、緊張に萎縮するささやかな突起をひっかかれ、彼は更に顔色を悪くした。
「何勝手に妄想してやがる、誰がてめェに突っ込むなんて言った」
 器用に鉤爪でアスコットタイを緩めながら、クロコダイルは眉間に深い皺を刻んだ。連動するように、人差し指と親指で摘まれた胸の先端も、強く挟み上げられる。ドフラミンゴの口からぎゃあ、と濁った悲鳴が洩れた。
「いっ、てェ、痛ェって! 解ったからそれやめろ!」
 他の部分より皮が薄いということは、それだけ痛覚が敏感だということである。指ならまだしも、爪を立てて捻られれば鋭い痛みが走る。反射で緩みかけた涙腺が、薄い翠色の虹彩に水の膜を張った。某歴史ミステリークイズ番組の人形の如く没シュートされてしまった際、サングラスが行方知れずになってしまったため、クロコダイルはその様子をつぶさに窺うことができた。ああ、お願いだから。頼むから。
 はぐれたガゼルを見る豹の目で舌なめずりすんな。
 ドフラミンゴのように長くはないが、鉤爪以上に器用に蠢くその舌は、つうと胸郭の線をなぞってもう一方の先端に辿りついた。柔軟な肉を尖らせて、押される。生ぬるく濡れた妙な感触に、ぞわりと鳥肌が立った。
「う、わ、待っ」
 黙れ、と言われる代わりに、リップ音のような音を立てて吸われた。先程容赦なく抓り上げてきた指も、気が付けば細やかに先端やその周囲へ愛撫を施している。特に性感帯でもない部分だが、集中して弄られると何故か焦る。
 既に両手の指では数え切れないほど、クロコダイルと寝ているドフラミンゴだが、こんな風に有無を言わさず仕掛けられたことはない。最初の時ですら、実力行使の前には一応舌戦という段階があった。負けたが。
 彼の言葉を信じる――信じたい――なら、今回もお互いのポジションに変更はないはずだが、だとすればこの怒濤の攻勢は何なのだろうか。
「いつもと同じなら、何、で――――っ」
 整った並びの薄いエナメル質が、やわやわと先端を噛む。痛くはないが、やはり妙だ。首の後ろに熱いような冷たいような、曖昧な痺れが走る。
「……素質はあるのか」
 言葉に詰まったドフラミンゴを上目に見て、クロコダイルが澪す。何の素質かは言及しない方がいいと思えたので、彼は目を逸らした。
 舐る舌はそのままに、右手が腹筋を伝って下りてゆく。紐を抜かれる音が立って、腰回りがゆるくなった。下着越しにてのひらでくるまれたそこが、予想外に育ってしまっていることを実感し、ドフラミンゴは困惑する。
「少しは、こちらの物解りの良さを見習ったらどうだ」
 揶揄なのか苦情なのか、今一つ掴めないことを言いながら、クロコダイルはぐいとドフラミンゴの下着を押し下げた。物解りっていうかてめェがやったことじゃねェか、と噛みつきそうになった彼は、それが乳首で感じましたと宣言するに等しいことに気付いて、済んでのところで口を噤んだ。
 クロコダイルの魔性に陥落はしたが、基本的にはストレートでいたいドフラミンゴである。同性に開発されたとは思いたくない、そろそろ守りに入るお年頃の三十九歳だ。
 そんな葛藤をよそに、均整のとれた指はさり、と髪より若干濃い色の陰りを撫で、更に下りる。やや兆した肉を握りこみ、思い知らせるようにゆっくりと扱きだす。
「……なァ、答えろよ、何っ、で俺が縛られっ」
 今日は意地でも相手を最後まで喋らせないつもりか、クロコダイルは言い募るドフラミンゴの唇に文字通り食いついた。薄い下唇をがぶりとやる。甘噛みだが、物理的に二の句が継げなくなって、彼の言葉はまたしてもねじ伏せられた。
 エナメル質の感触が残る唇の内側を、自分のものではない舌が這う。深く被さって、粘膜同士がぬるりと擦れあう。今度は否定のしようもなく、背骨から腹の奥へとまっすぐに愉悦が駆け下りた。
「……っふ……ぁ」
 息継ぎの合間に、クロコダイルがちいさく喘ぐ。多分怒るので言わないけれども、ドフラミンゴは彼が舌を絡めるキスに弱いことを随分前に察していた。耳の貝殻と口のなかが、砂漠の英雄は存外にお好きらしい。
 結局、途中から乗ってきたドフラミンゴは降ってきたくちづけを貪って、クロコダイルの欲情を後押しした。出所と対抗策の知れない色香に抗うなど、初手から出来ない相談である。
「……クソ、相変わらずやらしいツラしやがって」
 ふつりと切れた唾液の糸を舐めとって、ドフラミンゴは唸る。同じように唇の端を舌で拭うクロコダイルが、したり顔で不遜な笑みを浮かべた。くち、と湿った音が立ったのは、その右手の中だ。
「その顔でおっ勃てて濡らしてんのはどいつだ?」
 露出した肉の先に添えられた親指が、いたずらに潤いを滲ませる溝を行き来する。抜き立てられる幹までが濡れているのを感じ、ドフラミンゴは胸の内で悪態をついた。
「脚開け」
「え、やだ」
 危機感三度、ほとんど快感に流されかけていても、ドフラミンゴの後ろに対する防衛意識は緩まなかった。
 が、毅然とした拒絶は次の瞬間、根本をぎりぎりと絞め上げられて霧散する。
「てめェのケツになんか興味はねェって言っただろうが、あ?」
「………………!」
 このままでは後ろはおろか、前の健やかな未来も危ういことを悟り、ドフラミンゴは反論より行動で同意を示した。ゆるく膝を立てて脚を開くと、クロコダイルがその間に身を沈めて割り入ってくる。
 差し出された舌と、ついで柔い頬裏が、指の仕打ちとは真逆の優しさでぬるりとそこへ絡みついた。
「……っ、ぅ」
 巧いんだよ、この野郎。
 薄くした舌の表で先端を覆われたかと思うと、くびれた境をぐるりと舐め回されて、ドフラミンゴの膝がこわばった。唾液でしとどに濡らした硬い粘膜を、唇が圧をかけて擦り上げる。喉の奥も使って二重に絞められ、彼はいくらも経たないうちに追いつめられた。
 だが、呼吸を浅くしているのはドフラミンゴだけではない。
「ふ……っく…ぅ…っ」
 蠢くあかい舌の合間を縫って、詰めた息がこぼれる。片肘で身体を支えたクロコダイルは、ベルトをゆるめて後ろからスラックスの下に手を潜らせていた。奥へと伸びた腕の先がしていることは明白で、ドフラミンゴは彼の肩の小さな動きひとつに昂ぶる。気分の高まりは直にくわえられたものに反映され、血を吸い上げてますます張りつめた。
「……っ出、していーの」
 突き入れた感触を再現するように、唇を窄めながら奥まで迎えられて、最初の一音がぶれた。不随意な緊張の間隔が狭まり、こまかく震えの走る下肢の有り様を、クロコダイルが与り知らぬはずはない。このまま愛撫を続けられたら、いくらも経たないうちにドフラミンゴは吐精してしまいそうだった。
 驚くべきことに、確率は低いがクロコダイルは、気が向けば舌の上に吐き出す許可を出すことがあった。今回も、言い方によっては彼は随分乗り気だと言えなくもない。
 が、ドフラミンゴに尋ねられ、クロコダイルはあっさりと身を起こした。体液の混ざり合った糸が引いたのを、舐めずる所作で断ち切って、親指で唇を拭う。
 極めて半端な状態で放り出されたドフラミンゴは、彼が穿いているものを落としてゆくのをただ眺めていた。一目で欲情していると解る鼠径部は、紛れもなく自分と同じ造形なのに、何度目の当たりにしても萎えない。むしろその奥に呑み込まれた瞬間を思い出し、痺れるような疼きが脊椎を駆け上がる。
 焦らされることなく跨がれ、先端に熟れた孔のやわらかさを感じて、ドフラミンゴは腰を浮かせた。その動きに合わせるように、クロコダイルも身体を沈める。
「……っは……あ…ァ…っ」
 息のような喘ぎをこぼして、傲慢な男が啼く。
 拒んでいるのかと訝るような締めつけは、張り出した粘膜を抜ければ誘い込む蠕動だと知れた。何故かいつもより狭隘な管道を進む感触に、ドフラミンゴの目の裏がちかちかと明滅する。ろくに目も開けていられないほど、狭い。
「ぐ、あ、ちくしょ……締めんな……っ」
 腹の上に完全に腰を据えられた状態で、ドフラミンゴが呻いた。先端から根本まで、うねる内壁に咀嚼されているような錯覚が、彼を襲う。ぞくりと強い震えが腿に走った。率直に、真摯に、切実に、出したい。
「勝手にぶちまけやがったら、種まで干からびると思え」
 絶好のタイミングで脅迫され、ドフラミンゴの体感温度が二度ほど下がった。
 それは決して肉欲に即した比喩ではなく、文字通り局所的に極限まで細胞を乾燥させることを示唆する宣告だった。
「お、前っ、ここまでしといて無茶言うっ――――!」
 抗議が途切れたのと、クロコダイルが腰を浮かせたのは同時だった。
 相変わらず窮屈な粘膜は、食いつくようにまとわりつきながら脈打つ肉を擦り上げる。充分に滑る感覚、潤いはどうやら足りている。ならば、クロコダイルが故意に身の内を収縮させているとしか思えない。
「ァ……っふ、ぅあっ……んん……っ」
 ゆったりと、しかし深く腰を上下させながら、クロコダイルは感じ入った吐息を洩らす。ドフラミンゴの全体を絞り上げようとするかのように、大きなストロークで抜き差しを繰り返す。すぐそこに見えている絶頂と、向こう何十年の男としての人生をかけた天秤は、曲芸のシーソーのように交互に跳ね上がっていた。
「やめ、ちょ、止ま、れ……!」
 ドフラミンゴの足の甲に筋が浮き、その先の長い指が丸まってシーツを掴む。
 基本的に欲求はすぐさま充足させるスタイルで生きてきた彼にとって、辛抱は不得手だ。加えて性的な方面には割合淡泊であったことから、そういったキャパシティはそれほど高くなかった。
 吐精を堪えるあまり、こめかみに鈍い痛みすら感じながら、ドフラミンゴは歯を食いしばった。たまらず、身を乗り出しなお揺さぶってくるクロコダイルの顔を窺う。
「ハッ……だまっ…て、ぁ……腰…っ振れ……っ」
 シニカルな笑みはドフラミンゴの十八番だったはずなのに、いつの間にかクロコダイルに奪われていた。息を弾ませて上げた唇の端が、乱れた髪のひとすじを噛んでいる。上気したまなじりのほの紅さ、息を継ぐ胸の起伏、至る所に視覚からの起爆剤が潜んでいる。
 努力とか忍耐とかそんな問題じゃない。
 この状況で、この状態で、この命令、は。
「無理っ……むりだっ、て、イかせろ、ばか……!」
 平易な罵倒すら呂律が回らず、しかしそんなことを気にする余裕は既にない。自制の手綱は今にも千切れそうで、ドフラミンゴはその前にどうにか許してくれと祈る気持ちでいっぱいだった。
「ん、ぁっ、は…っ、その言い方、じゃ、不正解、だなァ……?」
 ひときわ強く絞られながら抜かれる。熱くとろけた肉の縁が、精を吸い上げるように肉を扱く。いきたい。存分に腰を震わせて、腹の底からぶちまけてしまいたい。
「……っ頼む、お願い、だから……っ」
 果たして今まで真剣に使ったことがあっただろうか、という言葉が口をつく。語彙の地層からどうにか掘り出した哀願を、音にできたのは一度だけだった。突き上げる解放の欲求を抑え込み続け、息を詰めすぎた肺はもう喋るゆとりもない。
 腹筋どころか鳩尾までが波打って痙攣している。勢いよく巡る血流が耳の裏でごうと音を立てる。こめかみが痛い。それももうどうでもいい。いいから早く、早く、どうか後生だから。
「クッ…ハハハッ、いいぜ、イけよ……――――っ!」
 諾と聞いた瞬間、クロコダイルの言葉も終わらぬうちに。
 ドフラミンゴは、うるんだ粘膜の奥に精を叩きつけた。



 死ぬかと思った。
 シーツと同化する勢いでぐたりと伸び、ドフラミンゴは天井を見上げた。よもや、腹上死という単語が脳裏によぎることになろうとは思わなかった彼である。体勢的には始終腹下であったわけだが。
 射精を許して自らも達した後、クロコダイルは再び動きだした。信じられねェ待てよお前せめてもうちょっと、と言い募りかけたところで、なけなしの抵抗も空しく勃ってしまったため、それ以降は一度目と同じように好き勝手乗り回された。
 サービス精神旺盛な気分なのはいいが、それなら思うままに出させてくれ、と切望せずにはいられない。いちいち扇情的な仕草で煽るくせに、やはりクロコダイルは自由に吐精させてはくれなかった。
「何呆けた面してんだ」
 先程までの無体な仕打ちを振り返っていると、その張本人がバスルームから帰ってきていた。清潔な湯気の立つ身体をバスローブで包み、タオルで引ききらない汗を拭っている。アラバスタ特産の、吸湿性に優れた繊維なのだと聞いたことがある。
「あんだけやりたい放題絞り取っといて、よく言えんなお前……」
 疲れた目でクロコダイルを見上げて、ドフラミンゴは呟くように言う。極限まで堪えさせられての絶頂は、体力と精神の双方を大幅に消耗した。海楼石のせいだけでなく、彼は腕の一本も上げたくないほど疲労している。強制的に上げられたままなのだが。
「ていうか、そろそろこれ外せよ。わけ解んねェけど、もう気は済んだんだろ?」
 いい加減、同じ角度に固定された両肩の関節が呻きを上げている。この有り様では汗を流すことすらできない。
 言われて、クロコダイルは今気付いたように、ドフラミンゴの手首に連なる鎖を見やった。相変わらず指先は組み合わされたまま戒められており、指ごと幾重にも手を巻く細い縄は、ゆるんだ気配もない。
「一服したらな。吸い終わるまで待ってろ」
 火を点けたばかりの葉巻を手に、さらりと酷な宣言をされてドフラミンゴが吠える。
「ざっけんなお前、煙草じゃねェんだぞ!」
 葉巻が燃え尽きるには、小一時間かかる。更に長針がひと回りするまでこの体勢でいろと言われては、疲弊した身体を押しても暴れたくなるというものだ。
 事が終わってもなお翻弄される男に、クロコダイルは堪えきれず笑った。
「クハッ、冗談だ。今外してやる、面白ェもんも見られたしな」
 珍しく含んだところのない言葉通り、彼は薄く満足気な笑みを浮かべていた。拘束を解いてゆくクロコダイルを上目に、ドフラミンゴは今後この男に対する警戒心を強く持とうと誓う。散々な目に遭ったそもそもの原因は自身にあるのだが、彼がそれを知る時はおそらく一生来ないだろう。
 それは、互いが最初に身体を繋いだ日まで遡る。



 初めて男を抱く野郎がおれを振り回すなんざ、百年早ェんだよ。



 砂漠の英雄のプライドは、こんなところまでも高かった。

 



蛇足:
寄稿させて頂いたタイトルの元ネタは有名な「好奇心は猫を殺す」という諺です。
鰐は初夜の屈辱(逆恨み)を根に持つにも程がある、と書いてて思いました。あと愛があるつもりで書いてたんですが、そういえば文中で清々しく否定してました。やっちまった! まあこの二人は友達っぽい関係から入ったのでまだ発展途上ってことで!

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